【オーダーより安い!】額縁の買い方・選び方【ホームセンター&画材屋】

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 今回は、自身の仕事の経験談や実際の購入談をもとに「額縁」の選び方について書きます。

 額縁を買われる方とはどのような人でしょうか?

 画家が自分の展示のために額縁を用意することがあります。これは展示する際のマナーともいえるかもしれません。

 また作品やポスターを購入した方が部屋に飾るために購入することがあるでしょう。また家の奥に眠っていた古い絵画なり作品を見つけた、親族、友人から譲り受けた方。誰しも多くなくても一度はそのような機会があるのではないでしょうか。

 あとは賞状やサイン色紙、思い出の写真は飾る機会としては多いでしょう。かけがえのない物が手元にある場合は美術愛好家でなくとも最適な額縁を選ぶ良い機会です。

 作家側はともかく作品を気に入って買った方などは、額縁の選択まで頭に入れている人は少ないかもしれません。そこで、そういった方向けに様々な額縁を目次を設けて説明します。

ポスター額(ポスターフレーム)

 額縁の役割とは入れるものの保護と、装飾だと思います。

 作品や写真は埃や紫外線に弱く、永い時間飾ることを考えるならば壁に直接貼るよりも、額(フレーム)に入れることがベターです。

 ポスターは飾る方、機会が絵画などに比べて多いと思います。

 ポスターフレームは多くの雑貨店やホームセンターに売られていて大型であっても安価なことが多く、若い方や学生でも手を付けやすいです。比較的低価格なのは額自体が軽量で薄く作られていてポスター表面にくる素材が塩ビシートであることが理由です。

 枠はアルミ製が多く、木目が着色されているものもあります。軽量なので枠自体の幅もとても狭いものが用意できポスターの雰囲気を邪魔しません。とくに枠が極細のものはポスターフレームならではのシャープでスタイリッシュな印象があります。色は黒白、ゴールド、シルバー、木目などシンプルなものがセオリーです。

 またサイズもポスターの規格に合わせて豊富に用意してあり、小さいものも大きいものもあります。ほとんどの規格サイズのポスターはジャストサイズで入れられることが出来ると思います。作品ぴったりにフレームに入れても額自体細くて薄いので作品が大きく隠れるようなことは無いでしょう。

 弱点としては塩ビ(透明)シートに関して、中身は汚れませんが静電気で表面に埃が付きやすかったり、くすみやすいことが挙げられます。しかし経年で汚れてしまってもシートのみでも取り寄せは可能で、取り換えることも簡単です。またシートは紫外線をカットせず直射日光には強くないので、日当たりがいい環境ではポスターが色ぬけすることがあります。通常の室内環境では問題ありません。

 他には軽量ゆえ剛性がないこと。落としたりしてしまうと、壊れてしまうこともあります。設置などするときは慎重に取り扱いましょう。

 もし、一点物や貴重なポスターの場合は以下に示すデッサン額に入れることをお勧めします。

デッサン額(デッサンフレーム)

 デッサン額と呼ばれる額縁はホームセンターの画材コーナーや画材屋によくおかれています。デッサンとはDessin(仏で素描)、主に紙に描かれた、線を用いた作品という意味で、デッサンフレームは「紙」作品を入れると考えて差し支えありません。

 鉛筆画や水彩画、版画、書道、色紙もこれにあたります。薄いボードもデッサン額で大丈夫でしょう。

 色紙、また作品ではないですが賞状には別に専用の額があります。

上 フランスの古い土産物のデッサン。細い木製のフレーム、マットには派手な着色と面金装飾がされている

 デッサン額は店頭におかれた常時在庫の商品でも、ポスター用より色や種類が多いです。ポスターフレームとの違いは、額の厚みと重量が若干増し、強度の点でも枠の幅が比較的広めになることがあげられます。紙の作品を入れることを前提としているので、ポスターも入れることが可能です。

 他には作品の表面はシートでなく透明なガラスかアクリル板になり、剛性と高級感があります。ガラスは手入れしやすく丈夫で、アクリルは軽く割れないことが利点です。90%以上UVカットや低反射のガラス・アクリルも注文できるので、比較的日当たりのよい環境でも安心して作品を維持できます。

 サイズはポスターフレーム同様豊富ですが、A判B判のほか独自のサイズ展開があります。なので、入れる予定の現物作品を直接照らし合わせるほうが確実です。

 なぜかというと作品が既成のサイズに合わなかったり、一回り大きいフレームに余白を設けて飾る方法があるためです。その場合は「マット台紙」を用いて額縁にセットします。

マット台紙とは

上 フレームのなかのクリーム色の台紙が「マット」と呼ばれるもの マットにも色や装飾の選択の幅が多くセオリーは白かクリーム

 マット台紙は額縁付属であることは少ないので、お店で別途作成することになります。外注だけでなく店頭で裁断してくれることも多いです。作品に合わせて中をくりぬき、それを一般には「窓」をあけると言います。

 マットの効果は、余白によって作品の収まり方を優雅に見せることができること、作品と額縁内のガラス(アクリル板)の間にマット台紙を挟むことで隙間が空くため作品への様々な影響を最小限にします。たとえば絵具を用いた水彩画はたわみがあったり、画材が厚塗りだと保管の際ガラスにくっついてはがれてしまうことがありますので必須でしょう。

 作品ぴったりのジャストサイズの額縁は、コンパクトにできる利点はありますが、傷つきやすい破れやすい作品などはとくにマットを用いたほうが良いでしょう。デッサンフレームだけでなくもちろんポスターフレームでも厚みの余裕があればマットを入れることが出来ます。

 また額縁の作品に対する四辺の「かかり」は比較的大きいので、そのかかりを少なくするためにもマットは使われます。

 台紙は作品にダメージを与えない中性の素材が使われています。マットを入れると作品を挟み込むだけではズレるので、作品をマットに専用のテープで固定します。

 マットの余白の範囲は自由に決められますがバランスよく見せることが基本です。台紙を重ねるダブルマットや面金、装飾などの加工もできるので一度お店で相談してみてください。

色紙額・書道用額・賞状額・その他

 色紙額はデッサン額の中で色紙にサイズが合わせてあるフレームです。既製品も店頭に常時取り揃えていると思います。自分なりのオリジナルな額にしたい場合は上記のデッサン額でサイズ指定していただいても、いいかもしれません。

 店頭には色紙サイズがなくともカタログ上では色紙サイズが用意されているかもしれませんし、このサイズなら取り寄せやオーダーでもさほど値段がかかりません。

 書道用額は専用の意匠やサイズ、ドンス柄が用意してあったり、賞状額でも同様、専用のしつらえがあります。

 その他、ユニフォーム用のフレームというものもあり、専用に飾れるハンガーや扉で開けられるようになっているものが用意されています。

油彩額(油彩フレーム)

 油彩額はデッサン額よりさらに厚みが増し、おもにキャンバスやパネルの作品を入れるために用いられます。油彩額に紙の作品を入れることは額の厚みが出すぎる場合があるので、あまり見られません。

 デッサン額以上に重量に対する強度があり、色や装飾のデザインは豪華で凝ったものがたくさん用意されています。油絵具だけでなくアクリル絵具など、絵具画材を用い紙やボード以外に描かれた作品は油彩フレームを考えたほうがいいでしょう。

 店頭在庫品においての種類やサイズ展開は、デッサン額よりも若干少ない傾向です。サイズはキャンバスやパネルの規格に合わせてあります。

Alexander LesnitskyによるPixabayからの画像

 油彩額は作品のサイズが大きくなればなるほど、既製額および店頭商品での選択肢は狭まります。セール品も見かけますが、貴重な作品に色やデザインが似合う額縁を合わせるためにもオーダーはベターかと思います。

 オーダーは自由にサイズ合わせができ非常にバリエーションがあるので、店頭で実際に持参した作品に合わせれば、ぴったりの物が必ず見つかるはずです。

 油彩額はフレームによっては価格差は二~三倍になることがあります。シンプルなものは一般に低価格な印象です。入れる対象のキャンバスやパネルは既定のサイズで作られているので、額によっては、カタログ上にラインナップがあればオーダーより価格が比較的抑えられることがあります。しかし規定のサイズに関わらず寸法によって価格を決めている場合もあるので注意します。

 また色やデザインに微妙な違いがあるフレームも多く、古典的なものから現代的なもの、洋風から和風の物まで取り揃えています。ぜひ作品も持参して、実物のサンプルを見ていただく事をお勧めします。

 また、既製品と違ってサイズと厚み合わせができるので、場合によっては枠のみのアクリルやガラス無しの注文等も可能です。作品と組み合わせる色や雰囲気に迷ったら、画材コーナーの店員さんは丁寧に相談も受け付けてくれます。サンプル(モールディング)を眺めるだけでも楽しいと思います。

モールディングには木製のほか、アルミ製樹脂製もある

ボックスフレーム

 ボックスフレームは箱型になっている額で、厚みのある立体や平面作品を飾ることができます。シンプルなデッサン額にそのまま厚みを増した製品が店頭にあると思います。リースを飾る方も多いようです。

 店頭にある各種サイズであれば価格はそれほどでもありません。作品の固定にはある程度の作業の手間はかかります。既製品の色やデザインのバリエーションは、デッサン額や油彩額と比べると少なめの印象です。様々な品物の展示用として、ネットで特注品を受け付けている業者さんがあります。(アクリ屋ドットコム など)

上 オーダーした、枠がないボックス額の例。キャンバス作品をセットし通常の額縁とはまた違う印象がある

写真額(ピクチャーフレーム)

 写真用の額は、カメラ屋の他、ポスター同様多くの雑貨店に見られます。なかにはアンティークなものもあるでしょう。サイズ展開はやはり写真サイズに合わせてあり、写真がぴったり入れられ一般的にはコンパクトなものが多いです。マット台紙も写真用が用意されていることがあります。

  写真額は気軽に購入できる価格帯で製品がそろい、透明なアクリル板同士で挟むアクリルピクチャーフレームもあります。

 複数の写真を一度に飾ったり、大きな写真の場合はデッサン額+マット台紙で注文することを検討してもいいかもしれません。

アクリルフレーム

 アクリルフレームとは透明アクリル板をメインに用いた額で、ビスで固定するタイプが多いです。写真やA判B判のフレームやボックスタイプ、ユニフォーム用などがあります。

 さわやかな印象があり、迷ったときに選んでも後悔は少ないでしょう。店頭には小型の物は有りますが、大型のものは取り寄せになるでしょう。特注サイズは店頭や通販でもいくつかの業者さんにオーダーが可能ですが、あまりに大きいサイズは強度の問題で作成不可です。華美な装飾がないので飽きが来ず、現代的な雰囲気があります。

上 側面まで描かれたキャンバス作品にも透明アクリル製のフレームは最適

デッサン額の買い方の流れ

実際に作品を額装しにいった

作品にモールディングを合わせている様子

 では実際に作品に合う額を選びに、ホームセンターに行ってきました。持参した作品は紙に筆ペンで描かれており、サイズはA4にほぼ近いサイズです。ある程度どのような額にしたいか(色や雰囲気を)見当をつけて実店舗に向かいます。

 店頭にあった既製品が若干イメージに近かったのですが、色をもう少し考えたいと思いモールディングを捜索。上の写真のモールディングの色と直線的なデザインが絶妙に合っていたので見積もりをとりました。

お店にあった既製額

 ほぼA4の作品でしたが、四隅に画びょうの跡がありそれを隠したかった事と、若干ゆとりをもたせたかったのでマット台紙を用い、フレームは一回り大きい太子サイズを選びました。

モールディングの「既成」サイズを“取り寄せる”

 知らない方も多くいらっしゃいますが、今回のように店頭に並ぶ額縁以外で、サンプルのみの額縁であっても、カタログ上に既成のサイズをラインナップしている場合があり、こういったものを取り寄せればオリジナルサイズのフルオーダーより安価で購入できる上、色とデザインの選択肢は格段に拡がります!

 今回カタログに「太子(八〇)」サイズのラインナップがあったため、こちらのフレームを取り寄せました。

ネット通販について

 ネット通販でも額縁の販売があります。自宅や職場にいながら注文できることは大きな利点で、サイズや品番が分かる場合スムーズな注文ができます。同じ額を大量に購入する場合などは運搬の観点からも便利です。

 留意点としては実際の作品というのはちょっとずつサイズが異なったり歪みがあることがあります。こういったひずみの微調整は通販の場合は自分で行うことになります。また作品の固定や紐の取り付けも行う必要があります。

 実際の額の色味はメーカーによっても繊細なバリエーションがあり、実際作品に合わせてみるとほかの色が良いと思ったり、木の茶色であっても木目の違いや艶の違い、すこし色を濃くしたい薄くしたいということもよくあります。

 額のデザインは画像ではわからない細かい装飾や風合いの処理がされていることも多いので店舗に出向くメリットも多いと思います。額のネット通販に関しては、いつも同じものを頼んでいたり、内容をよく把握している方向けといえるでしょう。

 アクリルボックスフレームなど特殊なフレームは外注になるため、通販での注文が主になるかもしれません。

額装の出来上がり

 注文内容は取り寄せのアルミ製フレーム(オリジン社 アルフレーム)とマット台紙のセットで、額装も同時にしてもらいました。筆ペンの作品だったのでUVカットアクリルに入れ替え、作品はたわみがあったので裏打ち(裏に紙を貼り強度増しと皺を伸ばす加工)をして貰いました。総額は今回A4サイズの作品で5~6千円。納期は1~2週間ほどです。裏打ちやUVアクリルがなければこの額はもう少しリーズナブルです。

 このサイズの既成額であれば2千円ほどからでも用意がありますが、もう少し出せば部屋や作品の雰囲気に合うベストな額を手に入れることができます!

 今回のA4の筆ペン作品では、当初予定していた和風や木製の額とは異なる新たなフレームを見つけることが出来ました。こういった発見は店舗に出向くメリットだと思います。

 ぜひ素晴らしい作品がお手元にある場合はお近くの画材店、ホームセンターへ出向いてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

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